大好きな小説の映画化とコンビニの店先の治安
『マチネの終わりに』はぜひ小説で
大人の小説が、大人なキャスティングで映画化されるという話です。
『マチネの終わりに』は芥川賞作家・平野啓一郎さんの著書で、天才ギタリストとジャーナリストの大人な恋を描いた感じなのだけど、ついに映画化が発表されました。
主演が福山雅治、石田ゆり子。おっと、大人だぁ…。『ガリレオ』シリーズでもおなじみの西谷弘を監督に迎え、公開は2019年秋とのこと。
そもそも平野さんの著書は他に読んだことがなくて、ことさら趣味においては外堀から埋めていきたいタイプの僕は手に取るときも少し戸惑ったのですが(そのせいで最新作を読めていない作家さんもたくさんいる)、ジャケットに引きこまれる形で購入。一作で判断するのは実に問題なのですが、精緻で綺麗な文章を書く人でした。
映画を観る前にぜひ、これは小説という形でチェックしてほしいです。内容はそりゃ読んでくださいというのが一番なのですが、読後感の良さというか、佳さというか、世さというか、余さというか、ありもしない同音異義表現を捏造したいくらいには名状しがたい味わい深さがあります。
例えるなら芳醇なダークラムで割られたホット・バタード・ラムの様で、力強い酒気と風味にいつまでも口内で躍らせていたくなる余韻があるのです。…ちょっとでも分かっていただけましたでしょうか。もし「あーなんとなく伝わった」という方がいましたら、お身体が非常に心配です。大丈夫ですか?
セブンの生ビールサーバー「ちょい生」サービス中止
期せずしてお酒の話になったので、この話。
セブンカフェ同様にセブン店内のサーバーで100~200円で生ビールが楽しめるという触れ込みだったセブンイレブンのチョイ飲みが、サービス見送りとなりましたね。なんか治安とか、そこら辺の懸念があったみたいですが…真意はまだ分かりません。残念というかなんというか、しかし僕個人としては実はやめといた方が良いと思ってたんですが。
そういえば何年か前にミニストップが展開したチョイ飲みできるコンビニ「cisca」というのがありましたが、アレはどうなんでしょう。不評という話も店舗が増えたという話も聞かないのですが、「女性も」「オシャレに」というコンセプトにしぼってシェアを広げずにぬるりと攻める方針で、これはこれで成功モデルなのでしょうか。今度行ってみよう。
そもそもコンビニの店先が嫌い
やっぱりコンビニの店先ってね。ホラ、昔から暇人の聖地みたいなとこあるじゃないですか。田舎で学生が円形に会議するためのスポットだったり。
大学時代にちょっと嫌な思い出があって、僕が大学生活を送っていた町もまぁ大学が無ければ地図にも乗るか怪しいくらいの田舎ではあったんですが、後輩2人と一緒にセブンに買い物に行きまして。買い物と言っても大学の周りに3つくらいしかないコンビニの1つ、勝手知ったるどころじゃなくほとんど生活スペースの一部みたいな店だったんですが、その日はやたらと店の前に人がいました。
- 初期のサトシがモンスターボールを投げるときにする帽子の被り方(WANIMAの被り方)をしてる
- 金色のネックレスをしてる
- 白い長袖のスウェットで肩から手首にかけて英語でなんか書いてある
- Twitterのヘッダー画像は全員間違いなく車
という感じの人たちでした。テンプレートとして、円形になって会議中です。そんな人々を意識するでもなく目の端に捉えながらセブンに入ろうとしたところ、うっかりバランスを崩して、停めてあった車の後部のウイング部分に肩をぶつけてしまったんですよね。
ガツンッ。
延々会議してれば良かったのに、6人くらいの円人類(仮称)が全員こっちを向きました。車はどうやら彼らの持ち物だったらしいのです。6人いるので、僕のぶつかった車が誰のヘッダー画像になってるのかは分かりかねますが。
後輩は「ちょっと!!!」みたいにやたらと騒ぎ立てるし、なんでそんな取り返しのつかないことをしでかしたみたいな感じの空気にするんだ、わざわざ。お前は味方だろう。
円人類は数舜、仲間内で何かを促すように視線を交わした後、一人が「・・・おい、気を付けろよ」みたいなことを言いました。僕の返答は確か「すいませぇーん、はは」だったと思います(ぶつかったのは完全に僕が悪いです)。そのまましずしずとセブンに入店し、買い物を済ませました。ただその間、なんとなくお店の外から視線を感じてましたし、「お前よく許したな。俺ならやっちまうわー」的な発言も聞こえた気がします。うん、なるほどなるほど。
用を済ませてお店を出ると、先までの活気はなくなっていて、人っ子一人いません。まさしく門前雀羅、連中はもう車に乗り込んだようです。会議は終わったのでしょうか。だとしたら議論はどういう顛末を辿ったのでしょうか。少し気になりましたが、ひとまず後輩と並んで目的地に向かいます。
確か僕らは、宅飲みの会場に向かってたと思うのですが・・・さてそんな道中、後ろから車のエンジン音が威嚇的に響いてくるわけです。後輩たちは瞬時に何かを察したようでしたが、あいにく僕は世間知らずで、意趣返しなんてフィクションの産物だと思って育ってきましたから、先ほど僕が肩をぶつけた車(車高はほぼゼロで、ポッキーも挟めないレベル)が僕の横に停められるまでずっとヘラヘラしてました。
ガラの悪いタクシーを止めたみたいな状況になり、もうビックリ。助手席と運転席にはさっき見た円人類の顔があります。やがてゆっくりと窓が開き、交わされたのはこんな会話でした。
車「おい」
僕「…はい」
車「お前…お前、酔ってんのか?」
僕「え? えーと、まぁ、少し」
(酔ってないがお酒のせいにしようとした。姑息)
車「…」
僕「…」
車「次やったらぶっ殺すからな!」
Tsugi Yattara-Bukkorosu Karana?????
この時知ったのですが、どんな文脈であれ、20歳越えて他人の口から出る「ブッコロス」を聞くと、驚きとか怯えよりも先に「合ってないな」という感じがするのですね。オーバーサイズ過ぎる服を着てる人を見た時の様に、世界に通底してる何らかの縮尺とズレた現象という感じがして、いわゆる「ダサさ」の正体ってこの不和なのかなと思いました。
ちなみに連中がその言葉を残して去ると、後続の車がやってきて(それも同じ円人類のメンバー)「アイツらに何か言われた?ごめんな、アイツら馬鹿だから・・・」とのこと。一枚岩じゃないのか。仲間内でここまで人格に開きがあることに驚きつつ、僕はコンビニの店先という場所がちょっとだけ苦手になったのでした。
そんな思い出から、コンビニでチョイ飲みってのは考え物です。全国に20000件前後存在する上に大通りにも面しまくってる化け物フランチャイズ店に、あの居酒屋の喧噪を輸入してどーすんだと。お酒は二十歳になってから、はいわずもがなですが、奥まった静かな席でしっぽりと楽しみたいものです。
まぁ僕全然お酒飲めないんですが。